アニュアルレポート2015

社長メッセージ

「文化を持った企業としてグローバルに成長する」

代表取締役社長 野地彦旬

フェーズⅢの経営環境と目標達成度は?

フェーズⅢの3年間(2012-2014年)は2012年後半からの為替の円安傾向に加え、原材料価格の低下もあり、経営環境は総じて好調だったと言えます。しかしながら、2014年後半は日本の消費税増税による駆け込み需要への反動、主要市場での価格競争の激化、ウクライナ問題によるロシア経済の低迷など悪化要因も数多くありました。こうした中、フェーズⅢの3年間累計の売上高は1兆7,866億円、営業利益は1,654億円、営業利益率は9.3%となり、フェーズⅢの3年間合計の定量目標に対し、売上高は若干下回ったものの、営業利益と営業利益率は目標を上回りました。

フェーズⅢの成果と残された課題とは?

大きな成果はタイヤ生産能力の増強とグローバルOE(新車装着)の拡大です。タイヤ年間生産能力はフィリピン、タイ、中国のタイヤ工場の増強、ロシア工場の稼動、インド工場の新設などにより、2011年の約5,900万本から2014年には約6,800万本まで拡大しました。グローバルOEは海外に生産拠点を持つ日系自動車メーカー各社を中心とした取引拡大に加え、欧州のプレミアムカーに相次いで装着されるなど世界的認知度を大きく高めることができました。また、MB事業についても商品展開と生産・販売拠点の拡充をグローバルに強化した結果、成長軌道に乗せることができたと思います。一方でタイヤ価格競争激化への対応遅れが顕在化し、特に北米、欧州、ロシアでの販売が伸び悩み、課題として残りました。

フェーズⅣの市場環境をどう予測しますか?

フェーズⅣの外部環境は海外では欧州、中国の景気減速やロシア問題、国内では2017年に予定されている消費税増税に伴う内需低迷のリスクが見込まれます。また、タイヤ・ゴム業界においては原油価格下落による世界的な自動車利用の増加、旺盛な自動車需要など好環境が続くと見られますが、各国での様々な環境規制強化に伴う低燃費タイヤ技術開発競争の激化、新興タイヤメーカーの急速な追い上げもあり予断を許さない状況です。こうした状況を踏まえ、環境変化やリスクへ柔軟に対応すること、独自技術によってビジネスチャンスを確実に掴むことが重要になってくると考えています。

フェーズⅣのテーマに込めた思いとは?

フェーズⅠからフェーズⅢでは「収益を伴った成長」「高質な成長」「強くしなやかな成長」と「成長」をテーマに掲げましたが、「GD100」の集大成であるフェーズⅣは次の100年での飛躍に向けた布石を打つとともに、これまで積み残した課題を払拭すべきフェーズと位置付けています。そこで、これまでの各フェーズで取り組んできた「成長」、グループ全体の成長、個々の成長などあらゆる成長力を結集して全社一丸で取り組むという思いを「成長力の結集~YOKOHAMAの可能性を結集して、次の100年を切り開く~」というテーマに込めました。

改めて「お客様満足度の向上」を基本方針に掲げた理由とは?

当社は2006年の「GD100」策定当時から「顧客最優先の企業風土を作り上げる」を基本方針に掲げ、お客様視点を大切にしてきました。しかしながら、フェーズⅢの課題として顕在化した販売の伸び悩みに対し、もう一度原点に立ち返り、お客様にとって魅力的な価値を提供し、お客様に選んで頂ける「横浜ゴムらしい商品」をお届けすることが必要だと考えています。そこで製品企画から開発・設計、生産・販売に至る全部門が、あらゆる行動をお客様満足度の向上に繋げるとともに、お客様に喜ばれる商品をタイムリーに開発・供給していくことが必要と考えたためです。

タイヤ事業戦略のポイントとは?

まず、グローバルOEの拡大を重視しています。近年、OEタイヤには世界的な環境意識の高まりを背景として、相反する性能である低燃費性能とグリップ性能の両立が求められます。これをクリアできるメーカーは世界でも限られていますが、当社はその1社だと自負しており、他社との差別化により、大きなビジネスチャンスと捉えています。OEタイヤは世界有数のプレミアムカーに装着されることでYOKOHAMAの知名度と信頼性を高め、ひいては市販用タイヤの拡販にも繋がります。将来的に世界のOEタイヤ市場でシェア10%を目指していきます。
もうひとつはトラック・バス用タイヤ、建設車両用タイヤなど生産財の拡大です。私はかねてから生産財をしっかりと作ることがグローバル競争に打ち勝つ上で重要だと考えていました。それは生産財の開発は非常に高い技術力を要し、新興タイヤメーカーが簡単に進出できない分野だからです。特に鉱山・建設現場で使用される大型・超大型の建設車両用タイヤ市場はトップメーカー2社がシェアを2分している状況で、当社は同市場に本格的に参入する考えです。すでに2014年までに49と51インチの大型ラジアルタイヤを相次いで発売しており、57インチも発売に向け開発中です。

MB事業戦略のポイントとは?

MB事業の2014年の売上高に占める比率は20%ですが、将来的に25%まで引き上げる計画です。これを牽引する戦略は「自動車部品ビジネスのグローバル展開」と「得意の海洋商品でNo.1カテゴリの拡大」です。当社はホースや窓枠用接着剤などの自動車部品において国内で高い信頼を獲得しており、こうした実績のある商品の海外展開を加速化させます。
また、海洋商品の空気式防舷材とマリンホースは全世界で非常に高いシェアを誇っています。さらなる事業の成長には世界中に供給できる生産・販売体制の充実が不可欠と考えており、昨年イタリアのマリンホース会社を買収したのに続き、本年下期にはインドネシア・バタム島で防舷材とマリンホースの新工場を稼動させる計画です。

技術戦略のポイントとは?

技術戦略のひとつに「お客様に満足頂くYOKOHAMA品質」を掲げました。これを具体的に実現するためにタイヤプラットフォームの共通化を進めていきます。プラットフォームを共通化することで、世界中のあらゆる工場で最高レベルの品質を持ったタイヤを、タイムリーに生産・供給できるようになります。従来はメイド・イン・ジャパンが好まれてきましたが、もはやそうした時代ではなく、同様の品質を実現できれば生産国は関係ないと考えています。また、世界各地のお客様に満足いただけるようタイヤ開発のグローバル化も進めます。現在は日本中心の開発体制ですが、中国での開発体制を拡充するとともに本年4月、タイに開発拠点を設置しました。今後、米国にも新設する計画です。

全社共通戦略のポイントとは?

当社は2018年以降に売上高1兆円を目指しており、この実現に向けてM&Aや提携は欠かせないと考えています。自前主義にこだわることなく、M&Aや提携を通じ、生産・技術・販売などにおいて積極的に外部リソースを活用していきます。技術開発についても自前主義にこだわらず、先端的研究機関とのさらなる連携に加え、他社などの外部の技術力も活用して、次世代基盤技術の開発スピードを高めていきます。

CSR活動への取り組みのポイントとは?

私はグローバルに成長していくためにCSR活動は欠かせないと考えています。環境や人権など国際的に共通した課題に取り組むことはもちろん、各地で働く従業員のモチベーションや可能性を広げる支援も進めています。その一例をあげれば、タイの天然ゴム加工工場では社宅に住む従業員の子供たちが学校へ通う費用を会社が負担しています。また、本年稼動予定の米国ミシシッピ工場では高校卒業の従業員に対し、カレッジ卒業資格を得ることができる教育支援を行うつもりです。

横浜ゴムの将来像をどう描きますか?

私は横浜ゴムを「カスタマーロイヤリティ」の高い、つまり「横浜ゴムの商品を買いたい」という意識を持ったお客様が多い企業に育てたいと考えています。フェーズⅣの基本方針のひとつに「全社一丸で、あらゆる行動をお客様満足度の向上に繋げる」を掲げましたが、「カスタマーロイヤリティ」はフェーズⅣだけで実現できるものではなく、次の100年もお客様の目線に立った事業活動を継続していくことが必要です。当社はメーカーですから、お客様に訴えるものはやはり商品です。お客様に喜ばれる、または感動を与える商品を高い品質をもって提供し続け、YOKOHAMAファンを世界中に増やしていきたいと考えています。

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