2019 FIA WTCR Morocco Report

【FIA WTCR モロッコ/ムーレイ・エル・ハッサン】

ニューフェイスも注目を集める2019年のFIA WTCRが開幕、
レース3ではLynk & Coがデビュー大会で早々に優勝を飾った!!

FIA WTCR Morocco

開催日 2019年4月5日-7日
開催場所 ムーレイ・エル・ハッサン
(モロッコ)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝周回数 Race 1 : 18周
Race 2 : 20周
Race 3 : 23周
(1周=2,971m)
参加台数 26台
2019 FIA WTCR Morocco

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発足2年目となる2019年のFIA WTCR(ワールド・ツーリングカー・カップ)は、モロッコのストリートバトルで開幕を迎えた。今年も足元を支えるのはヨコハマタイヤ、鈴鹿サーキットでの日本ラウンドを含む全10大会のカレンダーで、最終戦には新たにマレーシアのセパンサーキットが加えられた。

開幕戦のエントリーは26台と昨年より1台増え、さらに多くの“ニューフェイス”にも注目が集まった。その中でもFIA WTCC時代にBMWを駆ってタイトル争いを繰り広げた、アンディ・プリオール選手とアウグスト・ファルファス選手の存在は注目の的。ファルファス選手は、ガブリエレ・タルクィーニ選手らとともにヒュンダイ陣営に加わり、昨年のチャンピオンを獲得したi30 N TCRのステアリングを握る。

一方、プリオール選手が駆るのはLynk &Co・03 TCRという、聞き慣れないマシン。Lynk & Coは中国の自動車メーカーである吉利のブランドで、プラットフォームをボルボと共用する新興勢力だ。今シーズンのFIA WTCRにはこのLynk & Coが初の本格参戦を果たし、プリオール選手のみならずイヴァン・ミューラー選手とテッド・ビョーク選手というFIA WTCCでもチャンピオン獲得経験を有する豪華なドライバーラインアップを誇っている。

さて、FIA WTCRを戦うTCR車両であるが、これらは車種ごとにBoPと呼ばれる性能調整が行われてレースをより面白くしているのは広く知られているところ。この調整はエンジンパワーや重量、最低地上高といった項目で行われるが、このうちエンジンパワーを見るとヒュンダイ・i30 N TCRとLynk & Co・03 TCRは97.5%に抑えられている。さらにLynk & Coについてはウェイトも30kgという開幕戦出場車両の中でもっとも大きな搭載を課せられた。

こうした調整の影響も気になるところだったが、いざレースウィークになると土曜日のフリープラクティス2でビョーク選手がトップタイム、ミューラー選手が3番手で初陣となるLynk & Coの速さを見せつける展開に。もっとも、このセッションはビョーク選手から僅か1秒以内に25台中23台がひしめく大接戦、BoPが功を奏したとも言える結果になった。

そしてレース1に向けての6日(土)の午後に行われた予選では、Lynk & Co勢をおさえてトップに立ったのがホンダ・シビック TCRを駆るエスティバン・グエリエリ選手。ミューラー選手とビョーク選手がこれに続き、さらに4番手にもシビックのネストール・ジロラミ選手が入った。

土曜日の16時50分にスタートを迎えるレース1、マラケシュの上空は雲と青空が半々というところ。風が吹いてはいるものの路面コンディションはドライ、参加全ドライバーがホームストレートに勢ぞろいしての記念撮影など、シーズン開幕らしい賑やかな雰囲気の中でいよいよ2019年の戦いが始まった。

ポールポジションのグエリエリ選手は、ミューラー選手のペナルティによるグリッド降格で2番手スタートとなったビョーク選手とのサイド・バイ・サイドでターン1~2に進入、イン側をしっかりキープしてトップを譲らず。その後方ではジロラミ選手とプリオール選手がポジションを頻繁に入れ替える激しいバトルがオープニングから展開された。

パッシングが難しいストリートバトル、序盤でトップの座を固めたグエリエリ選手はこのままチェッカーまで快走を続けて堂々のポール・トゥ・ウィン。2位はビョーク選手、3位はジロラミ選手という表彰台になり、ホンダ勢と新興のLynk &Coがわけあうかたちとなった。

一夜明けた7日(日)は、午前中にレース2と3のスターティンググリッドを決する予選が行われた。ノックダウン方式の予選で最終的にトップタイムを叩き出したのは、アウディ・RS3 LSMのフレデリック・バービッシュ選手。ミュラー選手とビョーク選手がこれに続くと、4番手にはシビックのティアゴ・モンテイロ選手、5番手はクプラ・TCRのミケル・アスコナ選手というオーダーになった。

予選の上位10台をリバースグリッドで配してスタートを迎えるレース2、フロントローにはニッキー・キャツバーグ選手とタルクィーニ選手、ヒュンダイ勢が陣取っている。31歳のキャツバーグ選手に対して57歳の大ベテランがどう仕掛けていくか注目の中で、スタートが切られていく。

オープニングのターン1は、鋭いスタートを決めたキャツバーグ選手がタルクィーニ選手につけ入る隙を与えず。18周のレースはここから落ち着いた展開が続く中でヒュンダイの2台と3番手のジャン-カール・ベルネイ選手(アウディ)が後続を引き離してトップグループを形成。

このまま様子見ともとれる動きの無い展開が続いた前半だったが、レースが折り返した10周目にまさかのハプニング。トップを行くキャツバーグ選手がコーナーを曲がり切れず、単独でバリアに激突。このクラッシュによりセーフティカーが導入されてレースは仕切り直しとなったが、ひとつずつポジションを繰り上げた上位陣はそのままフィニッシュまでマシンを運ぶ展開に。昨年の王者・タルクィーニ選手が優勝、ベルネイ選手、ヤン・エアラッシ選手と続く表彰台の顔ぶれになった。

23周で競われるレース3、残念ながらキャツバーグ選手はスタートが叶わず25台がグリッドオン。注目のスタートはポールポジションのバービッシュ選手が出遅れ、ミュラー選手とビョーク選手が先行。しかし後方でエアラッシ選手がスライドしてバリアに激突、これにモンテイロ選手が衝突してセーフティカーが導入される。

リ・スタートはミューラー選手が決めてトップを堅守、このままフィニッシュまで貫祿の走りを見せるかと思われたのだが。14周目に入ったところでミューラー選手のマシンはステアリングトラブルに襲われ、ターン2で大きくアウト側に膨らんでしまう。この間にビョーク選手らの先行を許したばかりか、ミューラー選手はレースを続行することが叶わずこの周でリタイアに。この結果、先行したビョーク選手がウィニングチェッカーを受けて、開幕早々にニューフェイスのLynk & Co・03 TCRが優勝を実現した。

DRIVER VOICE

テッド・ビョーク 選手 [Cyan Racing Lynk & Co]

【今回の成績 : Race1 2位、Race2 6位、Race3 優勝】
同じマシンを駆るミューラー選手はトラブルに襲われましたが、チームからは縁石に乗らないように指示が出たので、私は車を労って走りました。もし私がもっとプッシュして走っていたら、車を壊してしまっていたかもしれません。チームの全員が多くの時間を費やして努力を重ね、開発した真新しい車を良いペースで走らせることが出来たのは、嬉しいと同時に驚きでもありました。こうしてチームの人々と喜びを分かち合えて、マラケシュは本当に良い一戦となりました。