REVIVE ADVAN IN TOP FORMULA =後編=

ヨコハマタイヤのフォーミュラカーレース史、前回は1980年の全日本F2選手権参戦開始から、1996年のフォーミュラ・ニッポン発足初年度までをお届けした。
後編となる今回は、2016年から続くSUPER FORMULAでの歩みについてご紹介していこう。


20年ぶりとなる国内トップフォーミュラへの復帰

1996年に発足したフォーミュラ・ニッポンでもADVANカラーのマシンが参戦したが、翌年からタイヤが他社のワンメイクとされたので僅か1シーズン限りの勇姿となった国内トップフォーミュラへのチャレンジ。そんな舞台でヨコハマタイヤの姿を見ることは叶わなくなってしまったが、一方で海外をはじめ多くのフォーミュラカーレースにヨコハマタイヤの参戦は続いていた。

そして、2016年からSUPER FORMULAへのワンメイクタイヤ供給が決定。2013年にそれまでのフォーミュラ・ニッポンから装いを新たにしたシリーズは、全日本F3000選手権の流れも汲むカテゴリーであり、ヨコハマタイヤにとっては20年ぶりの国内トップフォーミュラへの復帰となった。

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限られた時間の中でタイヤ開発は進められたが、フォーミュラに限らず国内外で展開してきたモータースポーツ活動で蓄積された知見は大いにSUPER FORMULA用のタイヤにも活かされた。開発を担当したエンジニアの一人である横浜ゴムの金子武士は2016年の開幕戦を前にした当時、開発の舞台裏を次のように語っている。

「奇跡的に全日本F3000選手権時代のタイヤ金型や、当時のデータも貴重な財産として残っていました。もちろん20年間でマシンの性能は大幅に向上していますから、タイヤとしてそれにどう応えていくのかが基礎となる部分でした。その点ではFIA F2選手権や世界各地で開催されているF3など、他のフォーミュラ・カテゴリーで得た経験を活かせました」

こうして生み出されたタイヤは、2016年4月24日に決勝が行われた鈴鹿サーキットでのシーズン開幕戦に投入され、波乱含みとなった予選を制してポールポジションからスタートを迎えた山本尚貴選手がそのままトップを守りきってウィニングチェッカーを受けることに成功。この戦いを終えて当時の開発本部長をつとめていた秋山一郎(現・三島工場副工場長)は、次のようなコメントを残している。

「私はフォーミュラ・ニッポンがタイヤワンメイクとなった1997年にモータースポーツ担当となりました。この年ヨコハマタイヤの供給が無くなったにも関わらず、近い将来復帰の可能性もあると、タイヤ開発は継続、実際にテストも行っていました。結局実戦復帰とはならず当時とても悔しい思いをしましたが、今回こうして国内トップフォーミュラへのタイヤ供給を果たすことが出来、とても嬉しく思っています。緊張の開幕戦となりましたが、我々のタイヤをうまく使いこなしてくれたチームとドライバーのみなさんに感謝しています。決勝は全ラップ目が離せませんでしたが、無事に終わってとにかくホッとしています」

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トップフォーミュラのバトルを盛り上げる2スペックタイヤ

順調なシーズンインを果たした2016年のSUPER FORMULA、ヨコハマタイヤは国内トップフォーミュラへの復帰初年度から新たな展開を実現に移した。8月21日に決勝が行われた第4戦のツインリンクもてぎでは、新たにソフトコンパウンドのドライ用スリックタイヤを供給した。これにより同大会は従来のミディアムタイヤを2セット、そしてソフトタイヤも2セットを各車は用いることとなった。

これによりタイヤ戦略も勝負を面白くする要因となり、予選では新品のソフトタイヤを最後まで温存した関口雄飛選手が初のポールポジションを獲得。決勝レースも制して、嬉しいSUPER FORMULA初優勝を手中におさめた。

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2017年には第4戦のもてぎ、続く第5戦のオートポリスと、2大会でソフトタイヤを導入。決勝では両スペックの使用が義務づけられたが、果たして第4戦はスタートの時点でミディアムタイヤ10台、ソフトタイヤ9台と選択がほぼ半々にわかれる結果に。その後は激しいオーバーテイクが随所で繰り広げられ、レースは実に見応えのある内容となった。

こうした経緯を踏まえ、2018年には2スペックタイヤがシーズンを通じて全戦に導入された。ただしソフトタイヤについては手が加えられ、ピークグリップをさらに高めた一方で、摩耗はあえて早く進むように開発された。こうすることで、更なるタイムアップを実現するとともに、それぞれの特徴をより明確化して戦略に反映させてもらおうという狙いがあった。

そして、開幕戦の鈴鹿では2スペック制により最後まで手に汗握る展開に。ポールポジションからミディアムタイヤでスタートした山本尚貴選手に対して、14番手からソフトタイヤでスタートした関口雄飛選手が猛追。51周の決勝、24周を走りきって関口選手は2番手にまで浮上。ミディアムタイヤに交換して追う関口選手、対する山本選手は32周でピットインを行ってソフトタイヤに交換した。

まさに手に汗握る展開となったが、最後は僅か1.7秒差で山本選手が逃げきりに成功。こうして初戦から大いに戦いを盛り上げた2スペック制は、今ではSUPER FORMULAの盛り上がりに欠かせない要素となっている。

そして2019年、それまでの「SF14」からマシンは新たに「SF19」へと世代交代を果たした。このニューマシンにタイヤも最適化、同年開幕戦の予選はコンディションが厳しい条件となる中でコースレコード目前に迫るタイムをマークした。シーズンを通じて随所で繰り広げられた接戦、最終戦にもつれこんだタイトル争いはニック・キャシディ選手がSUPER FORMULAで外国人ドライバー初の戴冠となった。

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ワンメイクタイヤサプライヤーとして、SUPER FORMULAを足元から支えているヨコハマタイヤ。これからも熱いバトルが魅了するトップ・フォーミュラの戦いに、どうぞご注目ください!!