取引先と共に

バリューチェーンを通じたCSR活動を推進します。

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タイで「CSR認定農園」育成プロジェクト─持続的な天然ゴムの生産のために

横浜ゴムがタイに所有する天然ゴム加工会社Y. T. Rubber Co.,Ltd(YTRC)では、タイ・ソンクラ大学のSara教授が提唱する「アグロフォレストリー農法」を通じ、健全な労働環境のもとで持続的な天然ゴムの生産を行う「CSR認定農園」の育成プロジェクトをスタートさせています。
天然ゴムは、当社の主要製品であるタイヤ、ホースなどに欠かせない原材料。その持続的な調達のため、当社では2014年から、主要生産地である東南アジアの天然ゴム農園における生物多様性などの調査を行ってきました。それを通じて出合ったのがこの「アグロフォレストリー農法」。天然ゴムを単体で植えるのではなく、竹や果樹など他の10種類以上の樹木と混植して育てるという農法です。
Sara教授のテスト農園における調査では、従来のゴムの木単体の農園に比べて自然林に近い状態が保たれ、土地の生物多様性を保つことができる、混植した他の樹木からも果実や木材を収穫でき、ゴム農家の収入が向上するなどのメリットがあります。
加えて、化学肥料の使用量削減につながり、ゴムの木の成長促進と収量拡大、ゴムの寿命の延長といった効果も確認されています。
YTRCでは現在、従業員の家族や近隣の農家を対象にこのアグロフォレストリー農法を紹介し、効果の検証を積み重ねる取り組みを進めています。また、「千年の杜」活動で培ってきた苗木育成のノウハウを生かして、ゴムと混植する樹木の苗木を提供したり、新たにこの農法を取り入れたいと考える農園への対応も担っています。
また、こうした取り組みを通じて、天然ゴム農家や近隣住民との関係性を深めながら、労働環境などの課題に対する相談・支援も実施しています。それによって、児童労働や強制労働、劣悪な労働環境などの防止・改善にもつなげていきたいと考えています。
今後、地元行政との情報交換なども重ねながら、アグロフォレストリー農法を契約農家にも展開し、環境、人権などあらゆる面に配慮した、当社の「CSR認定農家」となるモデル農家の育成を進めていきます。

プロジェクト提唱者からの声
ソンクラ大学 Sara Bumrungsri 教授

アグロフォレストリー農法は、ゴムだけでなく野菜、果物、薬用植物からも利益を得ることができ、さらにはゴムの収量自体も増えるケースもあります。
農家の皆さんの多くは農法を変えることに対してまだ消極的ですが、実際の現場を見て、研究者とアイデアを共有し、取り組みの内容を理解すれば、実践の輪が広がっていくでしょう。アグロフォレストリー農法を理解してもらうためには、この農法を実践している他の農園を見学してもらい、苗木と知識の両方の支援を受けることが一番良い方法だと思っています。

ソンクラ大学 Sara Bumrungsri 教授

CSR調達に関するアンケート調査を実施

当社では2015年8月から9月にかけて、主要製品の原材料となる天然ゴムを扱う取引先を対象に、CSR調達に関するアンケート調査とヒアリングを実施しました。CSR調達における課題を抽出し、その解決のための対策づくりにつなげるのが目的です。
アンケートを実施したのは、当社の天然ゴム調達額の93%を占めるタイやインドネシアをはじめとした取引先各社。自社農園および取引のあるゴム農園の状況(農薬や化学薬品の使用状況、森林保全や生態系保護に対する取り組みなど)をどの程度把握しているか、自社従業員の労働環境や人権保護についてなど、全24項目の質問に回答していただきました。
結果として、従業員の労働環境、環境などのコンプライアンスの面についてはほぼ全社が順守していることが分かりました。一方で、取引先の自社農園以外の天然ゴム生産現場の農園での肥料使用状況や、農園がある地域の法的ルールなどについては把握しきれていないという回答もありました。
また、各社が取引のあるゴム農園に対して、生産性や技術向上のための支援をさまざまな形で行っていることも確認できました。今後、当社として同様の支援活動を行うことも検討したいと考えています。
CSR調達については、2016年4月には、天然ゴムの取引先を対象とした交流会(サプライヤーズデー)を初めて開催。5カ国から24社41名の方にご出席いただき、当社のCSR調達方針について改めて説明するとともに、さまざまなCSR課題について活発な意見交換を行いました。
このほか年に1回、取引先にお集まりいただいて勉強会を開催しています。2015年度は「コンプライアンス(企業不祥事の事例と対応)」「CDPウォーター(適切な水利用)」をテーマに意見交換を行いました。安定的・継続的な原料の調達には、天然ゴム農園を含めた取引先の方々との関係性を強化することが重要です。
今後は、取引先や関連省庁とも協働し、当社独自の活動も含めた農園への訪問・調査の継続、地域の勉強会や交流会等を実施していきたいと考えています。それら天然ゴムに関する活動をはじめ、現地とのより良い関係性を構築しながら、地域の発展と自然環境の保全に寄与できるCSR調達を目指していきます。